レンズあれこれ


2007年5月13日更新

他のコーナーに書きましたが、僕の主力カメラはいまだフィルムカメラの一眼レフ、それもAFですらないMINOLTAのXシリーズを後生大事に使っています。
否、後生大事にと言うよりも、いまだ増加しているのです。

現在、XDシリーズが7台。XEが3台。X-500/X-570が5台。X-700が2台。その他X-1とX-300が1台ずつの計19台。
オーバーホールを必要としている機材も多数あるものの、そのなかでもお気に入りはXDシリーズとX-500です。

XDはあの感悩的なフィルム巻き上げレバーとシャッターレリーズを楽しみたくて良く連れだしています。

なぜMINOLTA製のカメラにしたのか?

MINOLTAが当時、ライカと提携していた事が一番大きな要因でした。
それと何処とは言わないけれど、アホみたいに高額な報道向け専用の望遠レンズばかりでなく、絵作りの楽しさが味わえそうなレンズが沢山あるのが魅力でした。

    
MINOLTAのちょっと変わったレンズたち
左よりバリソフトロッコール85mm f2.8、RFロッコール250mm f5.6、MDロッコール45mm f2

例えば、
バリソフト85mm f2.8

後にCanonがそっくり真似をした同仕様のレンズを作りましたが、オリジナルはMINOLTAです。
本来切味の良いレンズの描写には大敵となる筈のレンズ収差を逆手にとって他にない新しい味を出す、そうしたコンセプトに基づくレンズのひとつでした。

バリソフト85mmは、球面収差を自在に変化させ画面をソフトフォーカスにします。
85mmレンズは、別名ポートレートレンズと言われる様に、人物撮影には非常に向いた画角のレンズです。
MINOLTAのXシリーズの85mmレンズには、開放f値の明るいf1.7(後f2になりました。)と、このバリソフトがありました。
f1.7は、僕もMCタイプを持っていますが、開放ではボケ味の良いレンズですが、絞りの枚数が少なく、絞り込むとみにくいボケが出る事がありました。
バリソフトの場合、開放f値が低い代わり絞り枚数が多く、シャープモードでも良い味の出るレンズです。
ただ、こちらが想像している程には、ソフトフォーカスの写真に対する評判がイマイチで、がっかりする事があります。
「ちゃんと写ってないじゃない!」
「いえ、それはそういう効果を狙ったものでして・・・」
「ボケているの?」
受け手が見慣れていない事もあるとは思いますが、ライティングの調整等レンズ以外の要因が大きい様です。

RF250mm f5.6

使用頻度の高いレンズです。
普通、反射望遠レンズの場合、最小でも500mmクラスになります。
鏡胴内が硝子と金属で満たされた大きく重い屈折系レンズに比べ、反射鏡と空気だけの反射望遠レンズは、軽量小型なのが利点です。その意味では500mmクラスが妥当でしょう。
しかし、写真が絵作りだととらえると250mmと言う未知なる画角は大変魅力的です。
反射望遠レンズには、軽量小型と言う他に、構造上、絞りが入れられない(レンズ史上皆無ではありませんが・・・)為に、独特のボケが得られます。
これこそがこのレンズの魅力なのです。

反射望遠レンズではリング状のボケが得られますが、その度合いは焦点距離が長くなるほど大きくなります。
250mmの場合、500mmに比べ、効果は小さいものの、絵作りに使える程度の味のあるボケが得られます。
ピントもシャープで500mmの様に被写体を選ばないので結構使えます。
難しいのは、f値固定である事くらいでしょうか。
このレンズを入手した後、しばらくカメラ熱が冷めて、カメラを触らない時期がありました。
保管状態も決して良かったとは言えず、レンズに小さなカビが生えてしまいました。
いまにして思えば、非常に残念ですが、幸い描写には影響ない範囲なので、これからも大切に使っていくつもりです。

    

RF250mm F5.6 での撮影写真。ボケがリング状になっているのが判ります。

45mm F2

現在常用レンズとして、多用しているのが45mm f2レンズです。
このレンズ、柄が小さく無理の無い画角の為、非常に使い易いのです。
俗にパンケーキと言われていますが、そこまでは小さくありません。ただ、XDとのバランスはとても良いと思います。

写真を始めた当初、性能の良いカメラ、レンズに憧れて、機材を揃えたのですが、たまに息抜きで写真を撮ろうとすると、かえって重量のかさ張る為、機材のチョイスに苦しむ結果になりました。
最近、パンケーキレンズとして注目を浴びていたのがこのレンズでした。
カメラ熱再燃と共に、そんな評価に引き摺られる様にヤフーオークションで比較的安値で出品されていたのを落札しました。
50mmレンズ以上にその画角がしっくりと自分の感覚に馴染んでいるので無理なく絵作りが出来ます。
その上、愛機XDと組み合わせると相性抜群で、50mm f1.4と比べても小さく軽い上に、描写力も良い。
特に開放域での描写に満足しています。
50mm f1.4レンズの方がカタログデータ値は良いのですが、意外と開放f値では、描写が甘く、シャキッとしない事があります。でもそれはそれでレンズの味です。


MDロッコール45mm f2を装着したminolta XD
(クマのはステップアップリングがついていて決して小さくはない)

45mm F2の場合、手軽にカメラを取り出して、スナップ撮影をする。
そんな気取らない写真撮影にはピッタリのレンズです。
少しくらい暗くても、ズームレンズよりは明るくしっかり写せる。
このレンズを手に入れてから、プロ(主に報道関連)写真家の唱える良いカメラ、レンズと、一般のカメラマンにとっての良いカメラ、レンズとは何かを再考させられました。
カメラ雑誌では、今でもこうした一部のプロ写真家の方々の意見を元にカメラを評価している様です。その上、「こんなカメラが出たんだぞ、買え!買え!!買え!!!」と広告主にへつらう様な記事が踊ります。
ミノルタと言う会社が日本ではなく海外でこそ評価された所以が良くわかります。
欧米の人は本当に自分にとって良いものの評価をきちんとします。
他人の意見に引き摺られているばかりの日本人とは大違いです。
(うっとうしい場合も無きにしも非ずですが・・・)
SONY、HONDAが海外で高い評価を得ているのも納得いきます。
そして、MINOLTAも・・・
コニカミノルタとなって、カメラ事業から撤退したのは本当に残念ですが、今はSONYでがんばって欲しいと思います。


結局、30年近くMINOLTAのXシリーズにこだわり続けた原因は、こうした絵作りの楽しめるレンズにあった様な気がします。
残念ながら、αシリーズからは、開発競争の激化からか、こうした特殊レンズがラインアップから姿を消してしまいました。

いまだ、Xシリーズに魅力を感じているのはXDシリーズの感触の良さ等以上に、古くはロッコールと名乗ったMINOLTAレンズの魅力です。

MINOLTAのレンズのいくつかはその性能の良さが認められて、ライカRシリーズのレンズとしてライカの鏡胴を纏って販売されていました。
実際、当時のライカとMINOLTAのレンズカタログを比べると、レンズエレメントが同じレンズがいくつもあるのでおどろかされます。


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